2013年04月05日
価格競争力??

まず、この書類を見て皆様はどの様に捉えますか?
毎年、さも当たり前の様にこのような通知がこの時期になると舞い込んできます。
私は、こういう性分なのではっきり”無理!”と、言ってしまうのですが、いざ相手の立場になると、少しやりきれない思いに苛まれます。
なぜか?・・それは、言ってきた相手も実は上からの圧力で同じ・・・いや、それ以上の要求を突きつけられているからです。自動車業界は、ご存知の通りのピラミッド型をしています。カーメーカーが頂点にあり、今の言葉で言えば”サプライヤー”が下方に幾層にも連なっている構造である。故に、この文章は上から水がこぼれるがごとく落ちて行き、最終的には我々の方まで到達するのである。不思議なもので、この要求はどのカーメーカーも同様で、あるところに限定した話ではない。
発信もとはただ下命(厳命)すれば良いわけだが、問題はその下だろう。正直、体力のある一次サプライヤーは、海外からの利益もあり、あまり影響はないと思うし、それ以上に下層に振りまく管理費の幅をそのままか極小にし、同じ事を二次・三次に下命すれば良いだけの事だからだ。この文章は当社の上からのものだが、おそらくこれも、上から流れてきたものの焼き直しに過ぎないだろう。
”勝ち組”とか、”価格競争力”という、一見ビジネスをしてる上で格好良い言葉ですが、実際はそんな事を行ってる時点で、”僕らは窮久だ~!!”と吐露しているに等しい。
仕事は、やらせていただくものであり、逆を言えば”やってもらうもの”ともいえる。僕らの立場でどうのこうの言うのもおこがましいが、あるいみ”やってやってる”ともいえる。今の現状を上層はどう思っているのか知れないが、下層の我々の想いとはかなりのギャップがあるのではなかろうか?これ以上言うと、本当に自分が暗くなってきますが、現状をただ述べたまでであります。
ここのところの円安・株高で、大企業においてはいろいろ愉快な話が舞い込んでいることだろう。それでいてのこの書類なので、尚更今まで以上にこみ上げてくるものがある。実際の自動車業界は完全にグローバル経済に飲み込まれ、今では死に絶えようとしている新自由主義という言葉に手足を縛られているようにも見えるが・・・おそらく”共存・共栄”なんて言葉は彼らの辞書のなかから消え去って久しいのだろう。
さて、そういう自分はアベノミクスを支持する立場でいる。デフレからは早く脱却しなければならないと思うし、なにより活気づいた世の中であるべきだと思う。
問題は、かりにそうなったとして、その利益は国民すべてが享受すべきだ。一部のエスタブリッシュメントのためだけの日本ではあるまい。社会主義ともとられかねない言い方になりますが、正直な今の思いであります。リフレ推進のもとではあるが、かたやさらなる加工単価の引き下げとは、諧謔なの?としか思えませんが、この現実の改善も政の仕事であると私は思う。
我が社の課題は、言うまでも無くこの桎梏から抜け出す事であり、価格競争力云々・・・なんて言葉とは無縁のフィールドで勝負できるように、いち早く舵を切ることだと思う。