結いの心
とある本に、戦前の女工さんの話が載っていた。
戦前の女工さんというと、ついつい薄暗く酷使されていたイメージでを持ってしまっているわけだが、実際は工場内に寮の他、講堂・医務室もあり、医師・歯科医が常駐しており、更にはなんとプールまであったそうです。作業以外では、課業(国語・算数・作文・地理・歴史・修身・裁縫等々・・)があり、それとは別に映画が上映されたりピクニックにも出かけたりしたそうです。確かに月給は安かったかもしれませんが、それ以外の食費・学費等は全額会社負担です。しかも小遣いを引いた金額を実家に送金して、しかもボーナスまででたのです。女工さんたちは4年間働き、会社から送金されたお金は、結婚資金として親がちゃんと貯金をしており、幸せな結婚をしたそうです。
確かに給料は高くはないけど、額面の問題ではなく、寮費や学費食費は全額会社負担でありますから、今のエリートサラリーマンよりもましな暮らしをしていたととも考えられます。それはなにか、会社が「家」であり、社員同士が「家族」のように接していたという点であります。昨今、社員旅行や宴会を忌避する社員が増えてきたように見えます。会社がただ仕事をするためだけの場所になってしまっているからではないのかと思うわけです。
では、戦後なぜこの関係が崩れたのか・・・それは、占領軍の中に紛れ込んだコミンテルンのような共産主義者たちが、戦後のどさくさにイデオロギーを持ち込み、労働組合を作り、労使の関係を対決の姿勢にしてしまった以外の何ものでもありません。つまり、労使のあいだの「絆」を断ち切ってしまった。労使一体となり「協同」して頑張っていたところに、歪んだ思想が入り込み、労働者の権利云々といって仕事を放棄し、ストライキを繰り返し、会社への恩恵の念を持つどころか対立の道具にしていしまったところに今の労使トラブルの根幹がある。労働者が対立関係を望むのであれば、会社は社員を家族として見れるかどうか・・答えは否でしょうね。家族の関係など望むべくもないのであります。
日本的経営の崩壊には、外圧による規制撤廃や旧大店法の廃止があげられます。
結局、規制緩和により参入障壁を下げ、いびつな価格競争の末、安かろう悪かろうの精神がが染み付き、モノを大切にするという日本古来の美風まで奪い去りました。
今日本の取り戻すべきは、「結いの精神」だとおもいます。国や自治体、企業はもとより国民全体で「協同一致」し、国や国土、そして我国の真の歴史を学ぶべきだと思うのです。「糸」を結び、よい事は「吉」だから「結」。みなが結ばれるとよいことが起こるというわけです。一応、中小企業家の私も、「家」をキーワードに今後、会社全体を家族と考え、「結いの精神」をもってまいりたいものです。
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